LeMans 24 2014

昨日、一昨日は年に一度のクルマの祭典、ル・マン24時間耐久レースだった。みなさんはご覧になっただろうか。

レースに詳しくない人のためにル・マンについて解説しよう。

フランスにあるサルテ・サーキットで行われるレースで、その名の通り決勝は24時間を走行する。走行するコースはブガッティ・サーキットというサーキット施設に周辺の市街地を含めて町全体となる。コース全長は13.629kmと非常に長く、超ロングストレートを持つ。これを、最高峰クラスLMP1は一周6分半ばで走行する。

車両はプロトタイプカーとGTカーの混走だ。プロトタイプカーとは、F1などのフォーミュラカーと違い耐や剥きだしではないものの、元の車両は存在せずレース用に特別に作られたクルマ、一方GTカーは市販スポーツカーを改造して作られるレーシングカーだ。ただ、日本で人気のSUPER GTを走行するJAF-GTカーはもはやGTカーと呼んでいいのかどうか怪しいほどの大改造車がかなりいる。

車両区分はこの二種類だけでなく様々なクラスに分けられ、賞典はクラスごととなっている。そのため、24時間も走っているとスピードがまるで違うクルマがそこらじゅうにいることになり、速いクラスの場合はいかにスムーズにオーバーテイクするかが鍵となる。また、耐久レースの常としてどこがトップ争いなのか全くわからなくなりやすい。

ル・マンは車両規則の大幅な変更が多く、それがずっとレースを左右してきた。今年は環境性能を厳しく要求するルールとなり、いかに燃費を伸ばしつつ速くするかがテーマになっていた。

これに挑むトップクラスであるLMP1-Hクラスには3メーカーが参戦。

王者AUDIはここのところ無敵の強さを誇ってきた。3台のR18を投入し、表彰台独占を狙う。TOYOTAは今まで何度も挑戦しては跳ね返されてきた。圧倒的なスピードから現地での評価も高いが、今年こそは悲願の勝利なるか。2台のTS-040を投入する。PORSCHEはかつては耐久王者として君臨してきたが、長年ル・マンから離れていた。今回は復帰戦にして2台の919turboで勝ちを狙っている。

ル・マンはレースウィークになるとコース内に遊園地が建てられ、街中お祭り騒ぎとなる。特にフランスでは非常に人気の高いイベントだ。フランス人は耐久レースやツール・ド・フランスなど非常に過酷で辛いイベントが好きらしい。

予選でAUDIのエース、#1が跡形もないほどの大クラッシュ。もはや出場は絶望的、ドライバーの生命は大丈夫か、となった。しかし、ドライバーは擦り傷で済んだ(それでも決勝ドライバーは交代した)上に、わずか5時間余りでマシンを直してしまった。さすが王者AUDI、「そんなこと可能なのか!?」という修復でピカピカのR18を決勝グリッドに送り込んだ。

決勝はいきなりの部分豪雨が牙を剥いた。13kmのコースの一部分は視界が全くない豪雨、一部は晴れ。この危険な状況にはレースディレクションがレース中止を含む審議。この間に#8 TOYOTAがクラッシュ。同時にGTクラスのフェラーリとの接触によってAUDIの1台がクラッシュ。TOYOTAはなんとかピットに戻り修復に入ったが、AUDIはそのままリタイアとなった。

さらにもう一度豪雨が襲う。今度はレースディレクションは迷うことなく直ちにセーフティカーを導入してスローダウン、隊列走行とするが、この間にもGTクラスのマシンが次々とクラッシュ、姿を消した。

雨が上がると#7 TOYOTAと#2 AUDIの猛烈なレースが始まった。その差は最大でも2:30ほど。一周は6:30ほどかかるため、1/3ほどの差でしかなく、1分ほどまで詰まることもあった。強烈な速さでプッシュし続ける#2 AUDI、逃げる#7 TOYOTA。2時間から続いた激しい攻防は15時間をこえた頃、#7 TOYOTAがコース上でストップしたことで幕を迎えた。原因は電気系統のトラブル。全く動くことができず、自力でピットまで戻ること自体ができなかったためにそのままリタイアとなった。日本チーム、日本人初の勝利が近づいていると信じた人々の溜め息が響く。奇しくもサッカー・ワールドカップで日本が負けた直後の出来事だった。そして、トップ独走中の夜中にマシンストップとなった2001年のTOYOTA TS-020を思い出させる出来事だった。

スタートから18時間。GTE-Proクラスのトップ争いは#51 Fererriと#97 Aston Martinが0.5秒以内の激しいマッチレースを繰り広げる。この2台は夜中からCHEVOLETを含めた3台でこの状況を続けており、実に10十数時間に渡ってスプリントレースのような激しい戦いを続けていた頃になる。普通はこの時間にはもう大体決まっていて、数周は差がついて、あとはトラブルなく走りきれば、という状態なのだが。

トップ独走の#2 AUDIはトラブルストップでガレージイン。代わってトップに立った#1 AUDIで、それを追うのは#20 PORSCHE。#1 AUDIもトラブルでガレージインするものの、すぐ復帰。トップに立った#20 PORSCHEだが、これを3位で復帰していた#2 AUDIが一周で5秒も詰める猛ペースでプッシュ。計算上、これは逆転する!という状況で、なんと#20 PORSCHEがトラブルでガレージイン。さらに#14 PORSCHEにもトラブルが発生し、LMP1のポルシェは全滅となった。復帰戦全車完走を目の前にしての出来事だった。

これで#2 AUDI, #1 AUDI, #8 TOYOTAというオーダーとなり、残り36分で2台のAUDIはランデブー走行を開始、その強さを見せつけてトップチェッカーを受けた。

一方、LMP1よりも遅いプロトタイプクラスであるLMP2クラスも激しい攻防が続いていた。なんと、23時間を経過して1-2位の差はわずか1.4秒。最後まで団子状態、相手が見える距離のままチェッカーとなった。

これほど白熱したル・マンは45年はなかった、ということらしい。私知っている限りではこんなレースみたことがなかった。

ふわふわしてしまうほど、素晴らしいレースだった。できれば一番大切な人とこの瞬間を盛り上がりたかったのだが、それは残念。しかし、Twitterのみんな、そして能勢ひとみさんのおかげで今年のル・マンは例年になく充実して楽しめた。

みんな、ありがとう!

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音楽家であり計算機使いであり、ライダーであり声優でもある。

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