リベンジポルノ規制法案

マイナビニュースの記事を読んだのだが、印象としては、「法律自体は思ったよりまともなものになりそうだ」というところだ。

前提としてだが、日本の法律は非常によくできているのだが、運用がそれからかけ離れている。文面から完全に逸脱しているのが普通だ。しかし、最近できる法律は、もう法律からして「イカれてる」。ので、今回もとてつもなくイカれた法案になるのだろうと思っていたのだが、そうはならいで済みそうだ。

そのようなまっとうさの最大のポイントになるのがそもそもネットにアップされては困るような画像を撮らせないための啓発も大切だとの声もあります。しかし、恋人や夫婦などの関係では、そうした画像を撮る行為で関係性を親密にすることもあるでしょう。そのため、同意なしに画像を公表する行為を取り締まる対象にしたといえます。という一節だ。近年は、価値観の多様性の否定と、現実を弁えない絶叫戦術が世の中を支配している。その中で、イメージ的攻撃対象になりやすい、つまり「画像を撮った時点でアウトにしろ」的な声に対しては否定しているわけだし、そのようなイメージ的な支障にもかかわらず、それがひとつの価値として存在することを認めている発言、ということで「おぉ」と思った。

このほか、撮影対象者が第三者に特定されない、という意味で「裸ではあるが、後ろ姿」は対象外となります。また、被写体が撮影時に死亡している場合も、法律上は「人」とはならないために対象になりません。音声のみの場合や、写真や動画では特定できないが、文言によって特定できる場合も含まれません。こうした写真や動画による被害の実態については法案が通ってから調査するとしています。というあたりも、抑制的で良い。抑制的にすべきである、ということは明言しているので、根本的なその意識の欠如が異常化している昨今においてはそれが維持されていることが非常に重要だ。ただ、その「第三者」という言い方がすごく怪しいとは思う。例えば、その事柄自体を知っている関係者であっても法的には第三者なので、その人ならわかる、ということならば、例えば手だけの写真でもそれが誰だかわかるわけで、ちょっとそのあたりが濫用につながりそうに見える。

「被写体が既に死亡している場合」というのも、いい面と悪い面がある。例えば、殺人事件、あるいは死亡事故で、裸になっているケースを撮影し、ネットにupする行為は、その行為の道徳的・倫理的是非はともかくとして、少なくともその法案の趣旨とは全く関係のない話だ。リベンジポルノの法案なのだし、全く関係のない人が撮って上げるわけだから。こうした関係のないことを規制して報道や表現の自由を制約する話になると問題がある。一方、もちろん殺してから撮ったら、殺人罪に問われて、しかもどうせそのことは裁判において(というか公表しなくてさえ)実際は加算されるのであまり関係ないが、偶然要素込みなら「リベンジポルノなんだけれど規制されない」ケースが多少出てくる。実際に出てくるかは別として、そうなりうるということだ。

親告罪としたことは重要だ。こんなものが親告罪でなければ濫用されて魔女裁判になって、結局抹殺手段として恐怖政治にすることは目に見えている。既にそういう状態なのだから。

削除規定に関して2日というのは、あまりにも短いと思う。ISPからだとメールだと思うが、メールは1日に1000通以上もらう人もいるわけで、2日というのは企業でも「迅速な対応」になる。これはもう、本人に確認する気が全くないとしか思えない。せめて、その後本人がNOといえば回復するような措置が必要だろう。いいがかりだった場合を考えろ、という話だ。「灰色は白である」という原則はどこへ行った。

また、この文面では被害者は女性に限られるのかどうかが不明だ。最近はそのような差別的な法律が多い。もっとも、差別的法律でなくとも、DVや性暴行のように運用で差別されるケースはとても多いが。

しかしもっと根本的なこととして、この法案は、根本から逃げているだけの話だ。

リベンジポルノに関しては、腹いせというケースはそれほど多くない。だいたい、自滅前提で、巻き添えにというものだ。無理心中したいのだが、今の世の中ヒット&アウェイが正しいことになっているので、一方的に振られたら(だいたい、現状「振る」という行為さえないことが多い。メールで一方的にわかれたことにされるなどマシな方で、喧嘩したとかでもなんでもなくある日突然の着信拒否で「つながらないな」と思って電話をかけたらストーカーとして警告される、なんていうのが普通だ)話し合いさえできない、という状況だからだ。つまり、「処罰されるからやめよう」という話ではない。むしろそれで自分の人生が終わるのなら歓迎するケースのほうが多いだろう。

ストーカーもそうだが、そのように規制するよりも、むしろそういう交際に対する不誠実を改めるよう意識改革したほうが被害ははるかに減少すると思うのだが。

私は元カノで119人いるが(カウントミスを指摘されたので修正した)、その中で明確に別れを告げられた人数は多分10いかない。それで怒るなというのは正常な世の中だろうか?最大限保護される=もっとも良いとされる、であるわけだが(そうでないものを排除する法律を次々と作り、そのような社会が形成されているのだから)、その最良とは、軽い気持ちで付き合って、飽きたら着信拒否、それで連絡してきたら警察を使って相手を消す、という人なのだが、それでいいのか?

明らかにそれが根本であると思うのだが。

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音楽家であり計算機使いであり、ライダーであり声優でもある。

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