DVDリッピングソフト配布サイトのリンク掲載で逮捕者。その問題

DVD Shirikを紹介したとして、逮捕者が出た。

( NHKニュース, AV Watch )

広く批判が出ているにもかかわらず、メディアや権利者は絶賛、悪を倒したといった調子だ。 これは実に危険だ。

何が危険か。

まず、DVD Shirikが「違法ソフト」で、DVDリッピングが「違法行為」であると喧伝すること自体が非常に危険だ。

DVD Shirikの目的はどちらかというと、DVDビデオのサマライズにある。そのサマライズに伴って必然的にリッピングが行われるが、いずれにせよ自身が所有するビデオを観ることを制限する国はまずない。DVD Shirikが「黒い」ソフトだという認識は、世界的にほとんどないと言っていい。

例えば、DVDを買ったが家でゆっくり観る時間がないので、スマホで観たい、と考えたとする。 それを制限する国はほとんどない。だが、日本では実際にそれが違法になるのだ。スマホでみたいなら、スマホで観るDLCのサービスを契約しなさいという理屈だ。自分で買ったDVDなのにだ。

そもそも、DVDでしか手に入らないコンテンツもあったりする。 私なんかだと、雑誌付録のDVDは、当然ながらスマホで見られるコンテンツにはなっていない。 だから、スマホで観るなというわけだ。

重要なことは、これは著作権関連法とは関係がない。 ソフトウェアの配布は不正競争防止法によって禁止されていることであり、理屈は全く異なる。

  1. DVDをリッピングすると、DVDで売って、スマホ向けにDLCで売ってということができない!
  2. それができないと利益を損なう!
  3. 不当な行為だ!

という理屈だ。

だが、ものすごくおかしなことだと思う。 いってみれば、「CDの初回限定盤で音楽が聴けるとCDを複数買ってくれないから、初回限定盤で音楽を聴くのは違法だ!」というのと同じ理屈だし、「複製を防止する技術を破ってはならない」ということとは全く別の問題だ

この問題は、重大なのだ。

例えば、Linuxディストリビューションは無国籍の存在である。 世界中の多くの国の人が開発に関わり、また世界中多くの人がそれを使用する。それが普通だ。 その中で、不正競争防止法に関するregal reasonは日本に固有のものだ。 これに基づけば、日本ではLinuxディストリビューションはそのほとんどが紹介できない。DVDの再生すらできないコンピュータを望む人はあまりいないだろう。 また、日本でLinuxディストリビューションの開発はできないし、日本のミラーリポジトリも作れない、またそうしたマルチメディアソフトウェアの開発に参加することもできない。 ITにとって決定的な足かせだと言っていい。

複製する技術を破ってはならないというのは、不正コピーや配信に繋がるからだが、まずこれ自体が世界的に異常な規制である。 不正利用の可能性を理由に正当な利用も含めて禁止するというのはあるべき姿でないのは明らかであるため、普通そんな法律はない。 だが日本はそれだけでは収まらない。それが「可能としうる」ソフトウェアを配布すること、そして紹介することも違法だと言うのだ。 その理屈でいえば、プログラミング言語処理系も、OS自体が違法か。Windowsも違法ソフトだし、Windowsに搭載されているWindows Media Playerなんてもろに違法、ということになる。

おかしいのだ。様々な意味で。

そして「DVD Shirikのリンクを提示したから違法である」という理屈だ。 であれば、DVD Shirikへの大量のリンクを表示するGoogle, Yahoo, Bing(Microsoft)などは、より重罪であるということになる。はるかに影響力が大きく、大々的に掲載しているのだから、そちらは罪がないとするのは、恣意的な運用と見て然るべきである。

ものすごくおかしいのだ。

さらに、「知らせてはならない」というのは、極めて危険だ。 どんなに違法性のある情報であれ、あるいは反国家的な情報であれ、言論を規制するということはあってはならないし、知る権利は守られるべきものなのだ。 ところが、情報そのものを規制しようという。あとは適用範囲だけの問題であり、国家として不都合な情報は、それを伝えようとする者は全て投獄し、情報を操作し言論を封殺することが可能なのだ。

手遅れになる前に、気づくべきだ。


補遺

著作権法違反であったらしい。

また、そもそもスマホにDVDを転送すること自体が違法化されたらしい。

コンテンツの所有を禁止するのは、多重に売りたいということで現在主流になりつつあるが、これがコンテンツを貶めていることになぜ気づかないのだろうか。 いや、むしろ世界的には気づき始めているのだが、日本は奇妙な利権至上主義が蔓延し、目先の利益ばかりを追い求めている。

事態はより邪悪なものだった。

なお、理屈自体は同じもので適用方法が変わった話なので、その部分はそのまま読み替えていただければ問題ないものと思われる。

About haruka

主宰。
音楽家であり計算機使いであり、ライダーであり声優でもある。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です