未発売の新型 YAMAHA MT-10 に跨ってきた

概要

誕生日にパシフィコ横浜で行われた自動車技術展に行ってYAMAHA MT-10に跨ってきた。

国内でまたがれるイベントは初だったらしい?話題の新型だ。

MT-10が話題なのは、大人気MTシリーズのニューモデルということもあるが、何よりも去年登場し、あまりにも世代が違う、時代を塗り替える高性能で世界のレースシーンを席巻する新型YZF-R1のエンジンを含むコンポーネントを利用することで話題なのだ。

通常、こうした日本製のストリートファイターやハイパーネイキッドと呼ばれるような高性能ストリートバイクは、通常レースも戦うSSモデルの旧型の余りパーツを利用する。欧州製のこの手のモデルは、ほとんどをSSと共有し、スタイルの違いだけで速さは同等、ライディングポジションの違いからより過激なモデルとして演出することが多いのに対し、国産モデルは魅力に乏しい、ただコストダウンだけのモデルになってしまう。

スズキは最新モデルをベースにするが、これは最新モデルがそもそも古いからだろう。ホンダも、最新モデルではあるが、マイナーチェンジ前の古いエンジンだ。カワサキは2003年に販売を終了したモデルがベースのエンジンだが、もはや独自といっていいほど別物に進化している。そしてヤマハは、これまで2004年のエンジンをベースとして使い続けてきた。

だが、勢いが止まらないヤマハは、ついに待望のMT-10を登場させた。

MT-10はFZ1を置き換えるモデルである。その源流はFZS1000だ。「史上最強の『普通のバイク』」を標榜し、先鋭化するSSモデルに対して普通の道で走りやすく、しかも速いというバイクだった。この使い勝手の良さ、乗り味は今でも比肩するものがないと讃える人も多い。

FZ1は2006年にその後継として登場した。世の中のストリートファイター流行りに乗ってよりハードなフレームを持つスポーティなモデルとして登場したが、FZS1000の寛容な乗り味が失われ、またECUの不出来から乗りにくかったため、あまり評価は高くない。FZS1000よりは10kgほど軽くなったが、それでも重いという評価もあった。

MT-10はその後継として登場し、そのためFZ-1は特にアナウンスもないまま廃盤となっている。
欧州車の場合、「前年に登場したSSモデルのストリートファイター版として外装とハンドルを変更したモデルを出す」というのが一般的な手法となっているが、MT-10はそれに近く、新型YZF-R1と共通のエンジン、フレーム、スイングアームを採用する。それどころか、普通は変更される高価なSS用サスペンションをそのまま採用する。時代遅れなサスペンションを採用していた2014年モデルはフロントフォークが75,492×2円だったが、2015年モデルでは97,956×2円まで上昇している。なお、容赦ない高性能パーツを装着する2016年型ZX-10Rは片側$2,262.79となかなか恐ろしい価格だ(ちなみに、YZF-R1Mは178,200×2円)。

なお、おそらくはヘッドランプは共通パーツで、メーター周りにも多くの共通パーツがある。

MT-10はもはや「スポーティ」ではなく「レーシー」なYZF-R1をベースとすることもあり、普通に考えれば汎用性を捨て、欧州勢同様に走りに振ったのだと考えられる。それは、カワサキ Z1000や、スズキ GSX-S1000がそうであるようにだ。
だが、あくまでヤマハは汎用性を強調する。「ストリートで走って楽しめるMTシリーズ」と、「使い勝手の良いFZシリーズ」の両方の血脈を受け継ぐ、ということか。

詳細なスペックも発表されていた。160.4PSに車両重量210kgというものだ。
200PSを越えるYZF-R1からすれば随分とデチューンされたように感じられるが、それでも160.4PSというのは相当に高い。GSX-S1000が145PS, Z1000が137PSであるこことを考えれば非常にパワフルだ。

重量的にはMT-09 TRACERと同じ。400ccクラスのバイクよりも軽量なMT-09をベースとして、非常に重いバイクが多い同カテゴリとしては極端に軽いトレーサーと同等。Z1000は220kg, GSX-S1000は209kgだ。どう評価するか、ちょっと悩む重量ではある。200kgくらいであればとは思うが、コストダウンの結果であれば仕方ないとも見える。
GSX-S1000は1,115,640円, Z1000は1,198,800円。決して装備も悪くないため、250万円もするYZF-R1の価格を考えれば厳しいのではないか…という気もする。

全体・細部

外装

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写真でみたとおりにいかついフォルム。巨大なラウンドラジエーターと大きなオイルクーラーが存在感を示す。
ライトは低い位置にマウントされ、最も高いものはハンドル。
いかついが、(例えばB-KINGのように)実際に大きいということはなく、小さいというわけではないが一般的なサイズだ。MT-09は極度にコンパクトで小さいバイクだが、MT-10はこのクラスとしては常識的なサイズ(つまり、Z1000やSS1000と同等のサイズ)に迫力あるエクステリアでボリューム感を出しているものだ。

タンクは全面が樹脂パーツで、YZF-R1やYZR-M1を思わせる。ダミーインテークとタンクのサイド部分は別体式プラパーツで、さらにエンジンシュラウドとラジエーターガードも装着され、転倒時の修理コストを低減する工夫がなされている。

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2灯プロジェクターヘッドランプのカバーとシュラウドを一体化させたほうなフロントユニットは長いステーにより前へ、そして低く搭載されていて、角度によってはステーの長さが目立つ。

YZF-R1のパーツを活用したフロントマスクと、MT-09のパーツを活用したリヤ周りはちゃんとMT-10の個性を得ている。
ホーンはシングルだ。

シートは一体だが、小さなコブが取り付けられている。乗ってみると、段差が少なくて下がると後ろにいってしまいそうなので、どこにどう収まるべきかわかって大変良い

足回り

YZF-R1のフロントフォーク、スイングアーム、シャックアブソーバーに、MT-09やYZF-R6と同じMOSラジアル4Pブレーキ。ブレーキはR1とは違い、よく見ると色も違う。

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ブレーキレバーはリザーバータンク一体型の横型。なお、クラッチはワイヤー引き。

ショックユニットのメーカーは変わらずKYB。

タイヤはフロントが120/70ZR17, リヤが190/55ZR17で、ブリヂストンのS20を履いていた。

またがる。操作系

ステップはR1と比べ簡易で、コストダウンの跡が目立つ。リンクプレートの逆転可否はチェックせず。

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スタンドはおそらくR1と同じ部品。

ハンドルは幅の広いテーパーハンドルで、MT-09よりも絞られているように感じたが、単にバーの角度が変わったのかもしれない。
幅は同じだと思う。

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スイッチ類は複雑だが、MT-09同様、キルスイッチとセルスイッチが一体になっている。

スイッチボックス自体が随分と大きいが、どのボタンも操作しやすい。なんといっても、ウィンカーがまともなのが嬉しい。

タンクはR1と同じ感覚。MT-09のように短いということはなく、かといって遠くもなく、ごく普通。
リラックスしてもホールドしやすく、楽にも乗れる。

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ただ、中途半端にハンドルが低いので、長距離で風をうけながらだとちょっとしんどいかもしれない。

立ち上がった場合でもいい位置にハンドルがあり、非常に乗りやすい。手練のエクストリーマーにも良さそうだ。

シートはやや固めで、かなり広い。まずまず快適そう。MT-09のように柔らかくはない。

総評

09のようにぬめっとしたデザインではなく、09のように変であるわけでもない。

ごく普通のバイクだ。それは、07や25がそうであるようにだ。

相当刺激的で楽しいバイクなのは間違いないし、R1が欲しいけれども実用性でそこまで割り切れないという人にとってはきっとラインナップされるであろうハリケーンのハンドルキットも踏まえてR1のかわりに購入するのもありかもしれない。

おまけ。MT-25

ものすごくコンパクトで乗りやすい。足もつくし、非常に安心感がある。

初心者のうちは安心感があるということは安全のためにも上達のためにもなにより大事。もちろん、楽しさのためにもだ。

これは初心者に勧めやすい。

About haruka

主宰。
音楽家であり計算機使いであり、ライダーであり声優でもある。

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