表現の自由を守る党へのサポーター登録、その真意

山田太郎さん率いる表現の自由を守る党のサポーター登録を行った。

色々なツッコミどころがあると思う。順番にいこう。

山田太郎議員

その活動はWikipediaを見るのが早いだろう。

政治家としては珍しい、「反抗的な子」である。所属だけみれば一貫性がなく、何がしたいのかよくわからないように見える。

だが、その選択を重視していないようである。

日本は政党政治だから議員の個はないのであるという主張を耳にするが、それではなんのための議員の公約なのか、議員の人なのか全く分からない。
それであれば党の選択だけであり、人はどうでも良いではないか。

そのことが私は非常に不満であり、それを人々が当然のことであり異を唱えるのはおかしいとしていることが気持ち悪いのだが、山田さんは個人としての信念に基づいて行動していて、党は手段でしかない、といったところか。

表現の自由を守る党

そんな山田さんが作ったのが表現の自由を守る党。

もうちょっと呼びやすい名前はないのかという感じはするけれども、わかりやすい名前ではある。

党の中身としては、山田さん個人の信念を反映したものであるようだ。というよりも、山田さんを政党としたもの、と表現すべきか。
表現規制に反対する、というのが表立ったもので、その他の方針も山田さんの方針に従っている。

刮目すべき点

結果を出していること、その点に尽きる。

怪しげな諸派はしょっちゅう出てきて、消えていく。
例え公約が立派なものであっても、それらは価値のないものとみなされる。

だが、山田さんの活動は、確実に効果を挙げている。それは、明らかに声を荒らげるだけの現在の主流野党よりもはるかにだ。

山田さんの切り込みは鋭い。責め立てるのではなく、質問だ。曖昧な点、まさに私が(hackerたちが)ambiguous definitionを突くようにだ。

そして、その戦い方は的確だ。それはまさに、私が野党とはかくあるべしと思うことに合致し、現実的には理想的な政治家といってよい。その「現実的」ですら実際には理想主義に思えたが、そういう人が実際にいることはとても喜ばしいことだ。

きちんとした知識と力があり、それを行使する方法も知っていて、それを適切に活用し実際に行使してきた。
後述のように、もっと幅広い内容であり訴えかけられる層が広いにも関わらず、秋葉原系に特化した活動をしていることも、オタクの行動心理と母数を考慮したしたたかな戦略なのだろう。

理想を掲げるのであれば清いほうが良い。しかし、現実を戦うに任せる人は強くなければならない。

趣旨

山田さんの主要な活動は「表現の自由」とはいうものの、おおよそマンガ・アニメの規制に反対する、ということに偏ったものになっている。氏自身は幅広い素養を持つ方なので(原発に対してもきちんと理解した上で発言していた)おそらくはその中でのポピュラリティを考えてのことだろうか。

そのため、山田さんの支持者は圧倒的にオタクだし、またその意図は思想云々というよりも単純に「自分の好きなものを侵害されたくない」というのもであるように見える。

だが、だいたいそんなものだろう。きちんと政治家の発言とその意図を精査して投票する人がどれだけいるのか。自分の利益を考えているだけ、顔や名前だけで投票するよりもずっとマシだろう。

改めて私は?

中道左派の民主主義懐疑派である。

民主主義懐疑派というのがまたわかりにくいと思うが、要は現行の(現実の)民主主義において少数弱者が虐げられることを推進することを回避しえないこと、また民主主義と言いながらも実際に民意の反映プロセスは十分でなく、その効用が最大幸福に向いていないと考えることから、特に閣僚主義の民主主義はゆるやかに不幸を増幅させていくとしか思えない、という理由からだ。

民主主義そのものが悪だと言っているわけではない。Rubyコミッタのうささんによれば

個人個人が自分の意志(「特殊意志」)を主張してぶつけあって、それを例えば投票行動なんかで多数決取って勝ったからこれが民意(「全体意志」)!だから全員従え!とかやるのは間違いで、特殊意志の総和から利害対立を解消して真の総意であるところの「一般意志」を導き出すのが民主主義なのだよ。

……っていうようなことをルソーが言ってたと思った。

なので、「一般意志」を導けるならもちろん直接民主制でもなんでもいいんだけど、単なる投票行動で「一般意志」が導けるはずはなくて、真摯な討議が必要なはずで、それが社会の構成者全員ではできないから、間接民主制という形で不完全ながらも委託によって実現しようとしてるんだよ。

民主主義ってどんなもの? というのは中学校で教えてるはずなので、18歳になってすっかり忘れた頃に選挙権を与えるのではなく、中学卒業時点でさっさと選挙権を与えるべきなのかもしれない。

しかしまー、「一般意志」が存在しうるという幻想も、成り立ちにくい世の中となりました(そのことが悪いとは言ってない)。

東欧のどっかの国で、憲法や法律を変えずに仮想的に直接民主制を実現するぜ、っていう政党が立ち上がってたと思うんだけど、どこの国の話だったかなあ&その後どうなったかなあ?
その党の議員は支持者がインターネットでポチった通りの院内投票行動しかしないという公約で選挙を戦うというやつ。

ハンガリーのインターネット民主党だった。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88%E6%B0%91%E4%B8%BB%E5%85%9A …

世界は広くて歴史上でも現代でもいろいろ実験されてるので(やってる人たちは実験と思ってないかもしれないが)、広い視野を普段から持つようにしておかないとまともな議論ができない。

(という考え方を演繹すると、直接民主制に対してどうしても懐疑的になってしまう)

ということなので理想的には正しいように思えるが、現実はそうではない。オタクがマイノリティだなどというのは幻想も甚だしい。法律的に個人的信条を禁じられているこちらの身にもなってみろ、といったところか。

ちなみに、私は原発は

  • 過渡的技術であり、発展させながらもより優れた代替技術を模索し、その実用段階において順次廃止すべき
  • 原子力は極めて優れたエネルギーであるが、その制御は結局のところ人の手には負えない

という意見である。

憲法に関しては護憲派だが、単純な護憲というわけでもない。少なくとも、現状の憲法改正論には強く反対しているが。

呉越同舟

私は別に(少なくとも今は)オタクではないし、どちらかといえばオタク仲間の言動や精神性が嫌でオタクをやめた人だ。それが「オタクの味方」みたいになっている人を支持する、というのはあまり良いことではないようにも見える。

だが、実際に戦略・戦術としての面はさておき、その言論自体は必ずしもオタクに利益をもたらすためのものではない。私のように自由を支持し、排除を嫌う人にとっても利益なのだ。

結局のところ私はハッカーである。いかなる言論であれ、いかなる技術であれ、それを封殺すること、それを悪であるとすること、そうして自由を奪うことを許容できないのだ。

技術の根幹は、例え犯罪者やテロリストに利用される可能性があるとしても、それは自由を奪い取り政府による人々の私物化を許す理由にはならない、というものだ。実際のところ、初期は防衛プロジェクトであってインターネットですらも、ARPAを離れて間もない頃からその信念が掲げられた。暗号学においても常に語られる。

悪用される可能性があるから包丁を作らないのではない。悪用される可能性があるから火を使わせないのではない。それが例え政府にとって不都合が怒る可能性があるとしても、

例え忌避し嫌悪し唾棄すべきものであると感じる他者の信念であっても、その信念の自由が侵害される時には守らねばならないのだ。
誰かを助けるために、何かを守るために、それを選別する正当性など存在はしない。

故に、表現の自由、言論の自由、通信の自由などといったものは、私達にとっても、最も重要な価値の一部であるといえる。
それを守るため真剣に活動する人を支持・支援することは、私達にとっても明確な利益なのだ。

もちろん、民主主義懐疑派の私としては、投票を行うこと自体がその主張に影を落とすことは理解している。
だが、私の主張は現実には影響を及ぼさないだろう。一方、山田さんの主張は現実を変えるのだ。大切なものを、大切な人を守るため、節を曲げてでも現実を取る、ということだ。

決断理由の一部になるが、私はサポーター登録の解除がないために登録しえない、という発言を以前している。そしてそれからまもなく、FAQとして登録解除方法が示された。
このように取り入れる姿勢からは、今が歪んでしまわない限り、そう悪くはしないだろうと信じられるものもある。
彼自身が、主張の良し悪しではなく、当選したからといって公約に背く行動をとる政治家を批判しているのもその理由のひとつだ。

未来には、またメンバーの追加・入れ替わりなどで党が歪むこともあるかもしれない。
でも私は、今の現実から、一部の人だけの世界となり、排除されてしまう世界を、真剣に、心から、変えたいのだ。

要望

まず、何に対してどのような姿勢なのが、どのようにするつもりなのかということをテキスト文書でまとめてほしい。

ニコニコ生放送でやったりしているのだが、まず私はニコニコ好きではないし、そもそもビデオというのはものすごく検索性が悪い。書籍にされても検索性は悪いし、テキスト起こしをされても内容が簡潔にまとまっているわけではないので検索性が悪い上に読みづらい。
だから、きちんとテキスト文書で欲しいのだ。

もうひとつは、表現の自由に関するものが二次元関連に偏りすぎていて、私達にとって重大な利益になるもの、つまり

  • 世の中で正しいとされるものとは異なる言説や力あるものに対する批判であってもその言説は守られる
  • 通信が途中検閲されたり改竄されることなく、誰と何を話すかという自由と秘密が保たれる
  • 表現者が誰であるか、表現物が何であるかを問わずその自由が保証される

といったことに対する言及がない、あるいは著しく少ない。通信の秘密や、オタク媒体以外における表現の自由(内容としても含む)、またそれに不随する思想信条の自由に対する明瞭な姿勢と活動が欲しいところだ。

About haruka

主宰。
音楽家であり計算機使いであり、ライダーであり声優でもある。

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